ご挨拶Welcome to our workshop

ご挨拶

SSTのオンライン研修を開始いたします!

 2020年7月11日(土)、12日(日)に開催を予定しておりました「第26回SST全国経験交流ワークショップ in 仙台」は1年延期のうえ、残念ながらCOVID-19のために開催中止のやむなきに至りました。それのみならず、各支部の各種研修会なども同じ理由により開催見合わせとなっておりました。COVID-19は、しかし、なかなか収束を迎える兆しが見えません。県をまたいでの移動を職員に禁止する施設も多くある状況も継続しそうです。このような研修会開催に際しての困難が解消されない中、SST普及協会としましてもオンラインを通じての研修会を行うことにより、SST普及を進める必要があると考えました。SSTはロールプレイを通してその技術を学ぶことが多い特色がありますので、オンラインでの研修という方式になじまないという問題点がありますのでオンライン研修の持ち方について工夫が必要です。しかし、まずオンライン研修にもなじむことから始めたいと考えて、去る2021年3月21日(日)にオンライン研修会オープニング企画を行いました。その結果、良い手ごたえを感じましたので、来る7月10日(土)を皮切りに本格的なオンライン研修を開始することといたしました。

 オンライン研修の立ち上げには、残念ながら中止のやむなきに至りました「第26回SST全国経験交流ワークショップ in 仙台」で行うことが予定されておりました講演、シンポジウムを中心に、会員に限らず多くの非会員の皆さんにもぜひ視聴いただきたいプログラムを用意いたしました。相澤欽一氏(仙台市障害者就労支援センター)による教育講演「精神障害者の就労支援-精神障害者の雇用義務化や合理的配慮の提供義務を踏まえて-」 や、第26回ワークショップのテーマ「小さくたってきらりと光る私の経験、ワークショップでみんなの宝に」を体現する素晴らしい経験を集めたシンポジウムなどがそれです。

 2025年には普及協会が発足して30周年を迎え、協会が法人化して10周年を迎えます。日本でSSTを普及する上で協会が行なってきた事業と果たしてきた役割は大きなものだと実感されますが、そういう節目の時期を迎えようとする今日、今後さらにSSTを普及するうえで協会はどんな事業を進めることが必要かを考えてみましょう。SSTの核心は障害をもつ人たちをはじめ社会生活の上で様々な困難を抱える人たちのコミュニケーションの力、日常生活における問題解決の力を増し、対人関係を作る力を増す技法であることです。なのでSSTは当事者の地域生活支援のためのいろいろな方法に共通する基礎的介入方法となっています。したがって、SSTはそれ単独でなく地域生活支援の様々な方法と一緒に用いられてこそ真価が発揮されると期待されるのですが、そのようなものとして時代のニーズに合ったSSTとしてさらに発展するためには、生活支援の視点を行動(スキル)から認知・行動(価値意識とスキル)へと広げるとともに、スキル獲得のプロセスを「教える」から「自ら学ぶ」「共に学ぶ」形へと発展させることが必要と思われます。1)参加当事者個別のアセスメントを行い当事者と共同で目標設定をしてSSTを実施すること、2)内発的動機づけを高めセッションへの主体的参加の尊重を図ること、3)非機能的な(ネガティブな)自己認知への介入を行うこと、4)認知リハビリテーションと結びつけること、5)訪問サービスや家族心理教育等と統合して実践することが必要で、このように強化されたSSTがe-SSTだと言われています。もちろん、盛んに行われてきているbasic SST(b-SST)は障害をもつ人たちをはじめ社会生活の上で様々な困難を抱える人たちのコミュニケーションの力、日常生活における問題解決の力を増し、対人関係を作る力を増す技法として有用なものです。e-SSTとb-SSTとをそれぞれうまく活用しながら30年の歴史をもとに新しい発展の舞台へと前進してゆきたいと考えております。

 オンライン形式での研修の立ち上げが、COVID-19による困難を克服して、期待されるSSTの発展を進める力となることを期待しております。その最初の企画となります7月10日(土)のオンライン研修会に多くの皆様のご参加をお誘い申し上げます。



一般社団法人SST普及協会
会長  丹羽 真一